日本百名山のうちの一つである旭岳。私たちはそこで旭岳トレッキングをするため、北海道の中央部に位置する大雪山国立公園内に向かいました。大雪山公園は2268平方キロメートルにも及ぶ日本最大の国立公園で、その中にある旭岳は、北海道最高峰の標高2291mを誇ります。
大雪山国立公園まではさまざまな交通手段があり、日帰りや何日間かかけて登るコースなど、多くの種類の登山コースがあります。実は大雪山国立公園には、日本百名山のうちの3つが立っています。(旭岳、トムラウシ山、そしてオプタテシケ山)そこで数日間の登山やキャンプを計画し、途中の小屋で泊まったりすれば、すべての山を登頂することが可能です。
旭岳は6月ごろに雪が溶け、9月下旬にまた降りだしてしまうため、登山シーズンが非常に短いのが特徴です。登山シーズンのピークは、7月と8月の間となります。天候が非常に変わりやすく、旭岳の登山を計画している人は、雨や雪、寒さ対策をしっかりしていくことが大事です。
私たちは、旭岳温泉から中岳温泉ルートを経由し山頂付近でキャンプしました。今回のブログではそんな旭岳登山の体験談をシェアしたいと思います。
ここで紹介する体験や写真には、私たちが日本百名山を登る前に知りたかった情報が、たくさん詰まっています!
名前:旭岳
場所:北海道
標高:2291m
所要時間:合計7.5時間(4時間登り、3.5時間下りの中岳温泉ルート)または合計3.5時間(2.5時間登り、1.5時間下りのコース)
難易度:3/5(中岳温泉ルート)
登山口:大雪山、旭岳ロープウェイ(マップをご覧ください)
旭岳に一番アクセスしやすい方法は、北海道で2番目に大きい都市・旭川から車で1時間ほどのところにある旭岳温泉という町から行く道です。旭川から旭岳温泉まではバスが出ています。ですが、1日に数本しか出ていないため、自動車などの交通手段があったほうが便利です。
旭岳温泉からはロープウェイ(大雪山旭岳ロープウェイ)が出ており、標高1600mの姿見駅まで行くことが可能です。最新の料金とスケジュール情報は、こちらの大雪山旭岳ロープウェイのウェブサイトから確認してください。ロープウェイの駅と、旭岳温泉にあるビジターセンターに無料駐車場があります。
旭岳には、ロープウェイを使わずに登ることもできます。旭岳の山頂で出会った男性は、山頂で日の出を見るために、ロープウェイの稼働時間前の暗い時間帯から出発したそうです。ロープウェイを使わない場合、山頂まで追加で2時間ほどかかります。
旭岳温泉街には多くの宿泊施設があり、ハイキングの前後に1、2泊ほどして天然温泉を満喫し、旅で疲れた足を休めることができるのでおすすめです。
私たちは旭岳温泉からロープウェイにのり、約10分で標高1600mにある姿見ロープウェイ駅に到着しました。多くの登山客がこのロープウェイを利用していて、下りの時にもう一度、旭岳の綺麗な景色を堪能することができます。
特に紅葉のシーズンの9月中旬は、大変混雑します。旭岳の周辺は日本で一番早く紅葉が見られることで有名な場所です。
姿見ロープウェイ駅から旭岳の山頂に行くためのルートは2種類あります。同じルートを往復したくなければ、別コースからぐるっと一周して帰ってくることもできます。ですが、道も変わり時間が長くかかるかもしれないので、早めに出発する必要があります。
ぐるっと一周する人の場合、旭岳を登頂した後、天然温泉がある道を通って姿見ロープウェイ駅に戻るのが一般的です。
もっと短い時間で登山したい人は、旭岳山頂に姿見駅から姿見の池を通る経路で、登りが約2時間半、下りは約1時間半で帰ってくることができます。
短いルートを選ぶことが多いのですが、紅葉が見ごろだったのと、自然の中にある温泉に行きたかったので、景色が良くすこし距離の長い中岳温泉ルートを選びました。このルートは、下りが大体4時間から3.5時間ほどです。
大雪山国立公園の登山は本当に迷子になりやすいです。特に、第一言語が日本語でないと、分かれ道の標識が日本語でしか書かれていないので注意が必要です。
登山をする前からコースをしっかり把握しておきましょう。旭岳温泉街にあるビジターセンターで地図を購入することもできます。今年の初めに行方不明になった登山客の写真がネイチャーセンターにあったりもしました。
また大雪山国立公園ではハイキング中、熊に遭遇する可能性があるので、熊除けの鈴とスプレーを必ず持つようにしましょう。
標高1600mの姿見ロープウェイ駅に到着したあと、中岳温泉ルートの案内標識に沿って進みました。このロープウェイ駅の近くには、綺麗な湖がいくつかあり、そこで多くの人が写真を撮っていました。
この湖の周りを1時間ほどかけて歩く短めの散歩コースがあり、家族連れや本格的なハイカーではない人にも人気です。中岳温泉ルートから登山をはじめると、そこから人混みが少なくなってきます。
私たちは九月中旬にハイキングをしましたが、紅葉がとってもきれいでした。この時期にハイキングをする機会があれば、すごくおすすめです。
中岳温泉ルートの最初の2時間は、道がよく踏まれており、かなり平坦です。ロープウェイの駅と、野外温泉の間にある平坦な地域は、登山客がよく熊に遭遇する場所になるため、周囲には気を付けてください。
そこから一時間後、平らな場所にいくつかベンチがあり、そこで昼食を食べている人が多いです。休憩所の先は、地面がぬかるんでいることが多いため遊歩道が設置されています。
2020年9月に私たちが訪れた際、このあたりの遊歩道の状態はかなり悪かったです。でも、遊歩道が整備されている区間は道が分かりやすいのでありがたかったです。紅葉がよく見えるエリアでもあります。
さらに1時間ほど登山を続けると遊歩道が終わり、その先に川のある岩場の渓谷につきます。ここでは強烈な温泉の匂いがしてきます。
この峡谷エリアを10分ほど歩いたところで、小さな野外温泉が見えてきます。ここの近くには、携帯トイレ用のブースがあります。野外温泉は、一般的に足湯として利用されていますが、一人だけなら全身を湯舟につからせることも可能です。
温泉を過ぎると道は険しくなってきますが、天気がよければそこから大雪山国立公園を見渡すことができます。
さらに45分ほど登り続けると、分岐点があります。旭岳を登頂したい場合は右の道を選んでください。左側の道を進むと層雲峡温泉につながっており、国立公園へのアクセスとしても使われます。
この分かれ道を過ぎると、次は45分ほどの上り坂です。この辺りはコースが分かりやすかったです。この道の左側には、まるで別の惑星かのような国立公園の絶景が広がっていました。
その後、標高2185mの間宮岳山頂を通過し、別の分岐点に到着します。今回も右の道を進んでいきますが、この地点がキャンプ場と旭岳山頂を登る前にある最後の休憩場所となります。左の道は、国立公園内で何日もかけ登山するときのルートとなります。
そこからキャンプ場に到着するまで45分ほどかかります。キャンプ場は旭岳の下にある窪地にあり、風からテントを守るための石垣が各キャンプサイトの目印になっています。
そして、キャンプ場から20~30分ほど、すこしぬかるんだ火山岩の上を登っていくと、ついに旭岳の頂上に到着します。
旭岳の山頂から、下りは同じルート(3時間半)か、姿見ロープウェイ駅までいけるルート(1時間半)のどちらかです。後者の方が多くの登山客が利用する人気ルートです。
無料で利用できるキャンプ場で、トイレやその他設備はありません。先ほど書いた通り、テントが張れる場所には小さな石垣があり、風からテントを守ってくれます。事前のリサーチでは近くに水源があると聞いていたのですが、私たちが宿泊した時には見当たりませんでした。
夜は氷点下になり、ひょうも降っていてとても寒かったです。快適に過ごすには、機能性の高い寝袋と暖かい服が必要だと思います。
私たちは日の出を見るため、朝4時に起床し、暗闇の中20分ほどかけて旭岳の山頂を目指しました。
姿見ロープウェイ駅から20分ほど下ったあたりに、石造りの小屋があります。ここは緊急時にのみ使われます。
最初に大雪山の登山ルートを調べたときは、選択肢の多さに圧倒されてしまいました。国立公園へのアクセスもルートの選択肢も多いので、かなり悩みましたが、最終的に、旭岳山頂を目指す中岳温泉ルートに決めました。
道中には野外温泉もあるので、時間があればぜひこのルートで行くことをおすすめします。人気のメインルートからはなかなか見ることのできない、旭岳の素晴らしい景色がこのルートには広がっています。
また、他では味わえない体験ができるキャンプ場での宿泊もぜひおすすめしたいです。凍えるほど寒かった夜を超えて見た山頂からの日の出は今でも忘れられません。